今週で9月も終わり間もなく10月、秋の到来ですね。秋といえば、読書の秋、食欲の秋、そして学びの秋!10/1(日)からの翻訳キャンペーンもぜひご活用くださいね。
さて翻訳にまつわる各職種担当者からのミニコラム「実務翻訳のススメ」第29弾。
今回は、営業担当者が執筆いたしました!
ヒップホップと翻訳
ヒップホップという音楽に対して、どんなイメージを持っていますか。少し想像してみてください。
今皆さんの頭に浮かんでいるのは、B系ファッションを身にまとった不良たちでしょうか。貧困層の黒人が社会への不満を込めた音楽でしょうか。では実際にヒップホップを聴いたことがある人はいますか。
ヒップホップの曲では、歌詞をリズムに乗せ韻を踏みます。いわゆるラップですね。
リズム、メロディーに乗せて韻を踏むこと、歌詞に伝えたい想いを込めること、この2つが両立するためには、相当な語彙を持ち、且つ言葉が自由自在に繰り出せる状態でなければなりません。ライブで披露されるような、即興ラップバトルが良い例です。
私はふと考えました。翻訳者の語彙数はいくつだろう?ということです。
残念ながら、翻訳者の語彙数についての情報は得られませんでしたが、翻訳者、または翻訳者を目指す方の多くが、「語彙」について一度は悩んだ経験があるのではないかと思うのです。ただただ、語彙数が多いだけで良いというものでもなく、文章の内容や文書の種類に合わせて、適切な語彙を選択しなければならないのですから。シチュエーションに適した言葉を選ぶだけでも難しいのに、翻訳では、書き手の意図をくみ取り伝えるべき事項を確実に表現しなければならない。それは、大した語彙力もない私にとって、砂の中に落ちたビーズを探すように感じられます。「これだ!」という言葉があるのは分かっているのに、そう簡単には見つけられないからです。
ラッパーの中には、自分自身をポエマーと呼ぶ人もいるそうで。
彼らはよりイケてるリリックを生み出すため、不良なイメージとは裏腹に、競うように辞書を読み漁り語彙力を鍛え上げているのです。
同じようにプロの翻訳者がよりよい翻訳のため日々辞書を繰る姿を、仕上がってきた翻訳に目を通しながら、私はぼんやり想像しています。